希典のひとりごとのブログ

アクセスカウンタ

zoom RSS 北極海航路に優位性はない

<<   作成日時 : 2017/05/03 21:08   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 1

「北極海航路に優位性はない」

 地球温暖化の影響で夏季、北極海の海氷面積が縮小したため、海上輸送ルートとして注目されている。しかし、文谷数重氏によると、北極海航路に実益はないという。
 文谷氏は、「軍事研究」5月号に寄稿の「幻想に過ぎぬ『北極海ブーム』」と題した論文で、「北極海航路に実益はなく、北極圏での資源開発もさほど旨味はない。安全保障に関しては何の利益もない」ので、「日本は北極海への幻想を捨てるべきだ」と指摘している。
画像

 まず、北極海航路だが、北極海航路利用による利点はルート短縮にあるが、これが言われているほど価値があるものではないという。横浜〜ハンブルグ間に関しては、南回り最短のマラッカ・スエズ航路と比較して5500km短くなるが、アジア〜欧州海運の主流であるシナと低地諸国港(ロッテルダム〈欧州1位〉、アントワープ〈欧州2位〉)間でみると、華南諸港〜低地諸港間の距離は、スエズ経由1.8万kmに対し、北極海航路は1.6kmだ。

 しかも北極海航路は、大型船の運航ができない不利があるという。サニコフ海峡(レナ河口の東北、アンズ諸島とリャコフスキ諸島間の水道)の水深が13mしかなく、喫水12.5m以下の商船しか通航できない。このためコンテナ船は4000TEU(20フィートコンテナ換算で4000個積みの商船)が上限とされる。これは輸送コストで不利となる。
 海運では商船の大型化が進んでおり、コンテナ船で言えば、南回りの基幹航路には1.9万TEU級が就役しており、さらに2万TEU超の建造も決定しているそうだ。横浜〜ハンブルグ間で北回り4000TEUと南回り2万TEUを比較した場合、コンテナ1個あたりの輸送コスト差は最大で倍近くに広がる。当然、華南諸港〜低地諸港間では北回りと南回りの輸送コスト差はさらに広がる。要するにルート短縮によるコスト削減効果は全くないということだ。

 さらに気象条件の不利がある。当然だが冬季は使えない。高緯度帯は天候が不安定で、夏季の濃霧の影響を受ける。これらは運航スケジュールを不安定にし、物動計画が立ち難くなる上、追加コストも発生する。
 以上が北極海航路の不利で、実態としては従来輸送に比肩するものではない、と文谷氏は結論付けている。
画像

 次に資源開発だが、北極圏の資源埋蔵量は法外だが、採掘可能な資源は限定され、さらに市場価格の下落により経済性は見込めなくなった。よって、北極海への進出は日本の国益とはならないと述べている。
 [北極海沿岸部(注:陸上〈注当ブログ〉)での開発でも技術的な困難は付きまとう。プラントほかは極寒地仕様にしなければならず、さらにはそこまでの器材・設備輸送も面倒なためだ。採掘が始まった後の資源輸送についても、海上輸送は安定しない不利がある。
 これが海底油田・ガス田となれば、困難は増す。しかも沖合・大水深化すれば、まず不可能となる。
 採算が確保できるかも問題となる。採掘・輸送は高コストとなるため、採算ラインが上がる。そのコストが市場価格を超えれば、開発は無意味となる。]

 安全保障面はどうか。文谷氏は、北極海は安全保障上も無価値と断言する。北極海に経済的利益はないから、中共がアクセスを望んでもわざわざ日本が嫌がらせをする意味はないと指摘する。
 「中国に対して北極海で無理をする必要はない。北極海への経路は日本が抑えている。最短距離の対馬・津軽海峡、さらに迂回路の本州東方は日本勢力圏である。これは中国北米航路も同じだ。
 ロシアに対しても無意味だ。
 日本が北極海でロシアに何かできるわけでもない。彼らは北極海航路を抑えている。陸岸資源は自国支配下にあり、砕氷船や航路支援を提供できる立場を持ち、軍事投射でも圧倒的有利にある。
 逆に、ロシアが北極海経由で日本に何かできるわけでもない。ベーリング海峡は米国が抑えている。さらに、ロシアは極東部で日本ほかのアジア勢力に対し無力である。沿海州以東は鉄道連絡網もない無人地帯であり、唯一の軍事拠点ペトロハバロフスク(ママ。注:ペトロパブロフスクの間違い?)も孤島のような存在だ。その内実は一種の全滅予定部隊である。その上、沿海州までの経路はやはり日本が抑えている。
 つまり何のメリットもないのである。]

 なるほど、、少し前まで北極海航路利用のメリットをメディアなどでもよく取り上げていたように思うが、最近は目にしなくなった。文谷氏は、「辻久子氏は『北極海航路とヤマルLNG』で通航量の急減を紹介している。航路は2010年に開放され、2012年には126万トン通過の実績を上げた。だが、以降は減少し、2015年には4万トンまで減少したといった内容である(『ロシアNIS調査月報』2016年9/10月号)」と指摘している。
 つまりは北極海航路にメリットがないことが分かり、ブームが過ぎ去ったということだろう。

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
まったく同感です。
進出参加投資するに益無く、
敵手に投資させて消耗させるに放置プレーで良いと思われます。

全滅予定部隊
そうだと思います。
戦時には、カムチャッカの潜水艦基地を制圧し、
千島列島も、餓島化するも、要所抑えるも
掃討するも展開次第で選択すれば良いと思われます。
ですね
2017/05/04 04:02

コメントする help

ニックネーム
本 文
北極海航路に優位性はない 希典のひとりごとのブログ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる