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zoom RSS 航空自衛隊が直面する危機 C

<<   作成日時 : 2017/11/11 21:11   >>

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「航空自衛隊が直面する危機 C」

 尾上定正・前航空自衛隊補給本部長/元空将は、「軍事研究」11月号に「『後方』なくして『勝利』なし! 大物兵器の買い物に走ったツケが回ってきた 航空自衛隊の後方体制にメスを入れる」と題した論考を寄稿し、航空自衛隊後方体制(兵站)の危機的状況について訴えられた。これについては、10月13〜15日付当ブログで紹介したが、引き続き尾上空将は、同誌12月号にも空自後方が直面する危機について「航空自衛隊の後方体制にメスを入れる(後編) 島嶼防衛や弾道ミサイル事態に対応困難 複合的危機に直面する『空自後方』」と題した論考を寄せている。以下、抜粋して紹介する。
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 [2 空自後方の現状評価
 (1)運用支援の状況
 @実任務支援:警戒監視/対領空侵犯、BMD対処及び事態対処
 筆者は航空自衛隊補給本部長就任前、北部航空方面隊司令官として約2年間、実任務遂行にあたったが、戦闘機の可動率はじめ後方支援の制約で任務遂行に不安を覚えたことはなかった。初級幹部当時と比べて戦闘機の平均可動率が随分低くはなったが、練成訓練や演習等の所要は確保できており、さほど問題は感じなかった。
 平成28年7月、補給本部長就任時の説明を受けた時、まさに「茹でカエルが茹であがる」危機感を実感した。
 対領侵等の実任務は空自にとって最重要であり、部品不足等の影響を局限するためのあらゆる手段が執られていることに思いが至っていなかった。航空支援集団の輸送業務も国際活動や日米共同演習等の優先度の高い任務に可動機を確保するため、恒常業務は減らさざるを得ない状況である。後方職域の誇りは運用が意識せずとも常に所要の支援を提供することであり、運用者には後方支援はあって当然という意識が長く続いたため、後方の「温度上昇」が運用に伝わらず、空自全体としての問題意識が共有されなかったと考える。]

 航空方面隊司令官という要職にある者でさえ、空自後方の危機的状況が認識されていないというのは驚いた。尾上空将が本論文を寄稿された動機のひとつに、空自全体として問題意識の共有があると推測される。

 [また、空自の後方組織は基本的に「基盤的防衛力」当時と変わっておらず、南西方面の島嶼防衛や弾道ミサイル攻撃事態に備えた後方支援体制となっていない。
 例えばF‐15戦闘機の後方支援は、島嶼防衛作戦正面の第9航空団(那覇)が部隊整備を、三菱重工がIRANを実施する体制であり、他のF‐15部隊と同じである。9航空団は作戦を実施しつつ計画整備やIRAN搬出入に係わる作業、場合によっては戦闘による損傷の修復作業等を実施しなければならない状態にある。作戦正面の整備作業の負担を軽減し、後方地域において可動機を確保する体制への転換を検討すべきである。
 また、地上レーダー、展開待機するペトリオット器材等の定期修理・計画外整備は、会社技術員派遣による現地補給処整備が多い。担任補給処は年度の包括契約もしくは故障発生時の随時契約により運用への影響を局限しているが、武力攻撃事態が生起し防衛出動が下令された状況で、作戦地域に現行の契約により会社技術員を派遣できるとは考えられない。
 空自の現行後方体制は平時の運用を前提としているため、有事の運用を実効的に支援する体制となっていないのである。]

 「基盤的防衛力構想」が打ち出された時、制服組は猛反対した。一国の防衛力は脅威に応じて整備するのが軍事常識であるにもかかわらず、基盤的防衛力構想はそのことを無視しており、危機が昂じても戦力のエクスパンドができなくなるからだ。要するに、訓練等の恒常業務さえできれば良いという考え方で、有事を考慮していないのである。有事に備えて存在しているはずの自衛隊が、有事を想定していないというのでは笑い話にもならないが、これが現実なのだ。
 「準有事」と言ってもよい状況下にある第9航空団では、有事を想定していない後方体制の下で、さぞかし苦労されていることと想像される。尾上空将が指摘される通り、「作戦正面の整備作業の負担を軽減し、後方地域において可動機を確保する体制への転換を検討すべきである」。戦闘機(F‐15)の予備機や予備部品等をを多めに用意したり、比較的余裕があるとみられる第6航空団(小松)との間でパイロットや整備員等をローテーションさせるなどの対策を採ったらどうだろう。
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 [A教育訓練支援:練度維持、操縦者教育、共同訓練
 平成28年度の緊急発進は過去最高の1168回を記録した。東シナ海で活動する中国軍機への対応が激増し、南西方面唯一の戦闘航空団である那覇基地所在の第9航空団がその大半を担った。このため操縦者の練度維持が困難な状況にあると前南西航空混成団司令の荒木淳一空将が報告している(「南西地域における現状等について」、『エア・パワー研究』第3号、航空自衛隊幹部学校)。
 このような状況は別として、航空総隊では後方支援上の制約による練成訓練への支障は出ていないが、毎年度参加している日米共同訓練(コープノース・グアム、レッドフラッグ・アラスカ)には相当数の戦闘機、早期警戒管制機(AWACS)、C‐130等を確保する必要があり、実任務所要との両立に苦心する状況にある。今後、オーストラリアや英国との共同訓練等の機会が増えると、さらに厳しいやりくりが必要となろう。 (後略)]

 通常、隷下に2個飛行隊を有する航空団では、両飛行隊が交互にスクランブル待機に就いており、同待機に就いていない飛行隊は練成訓練を行っていると推測されるが、緊急発進が激増している第9航空団では、当然、戦闘機の整備所要も増えるので、スクランブル待機に就く戦闘機を確保するため、練成訓練に使用できる戦闘機が不足しているものと想像される。ゆえに「操縦者の練成維持が困難な状況にある」のだろう。
 この事態を解消するために、一定期間(例えば4カ月間)、第9航空団で任務に就いたパイロットを比較的余裕のある航空団に移動させ、そこで練成訓練を行い、再び第9航空団へ派遣する―などの方策を採ったらどうだろう。

 [B今後の見積もり:底をしのぐ、飛行安全に妥協なし
 問題が正しく認識され危機感が共有されれば、解決策が導かれるであろう。だが、解決策が採用されても、その効果が表れるにはタイムラグが避けられない。特に調達所要期間の長期化や会社の製造修理能力の限界など予算以外の問題解決には時間がかかる。したがって、当面は今の厳しい状況が続く覚悟で、運用と後方が一体となって後方支援の底をしのぎ、次期中期防にその傾向を反転させる大胆な解決策を導入してもらいたい。
 その際、飛行安全の確保に不可欠な航空機の品質保証は絶対に妥協しないという意識を徹底することが重要である。
 (中略)
 空自後方組織は飛行安全確保の重要性を十分認識しているが、部隊における共食いや定期交換間隔の延長など可動機を捻出するために執らざるを得ない措置が航空機の品質に影響することは否定できない。「しのぎ」の間は、このような措置について技術的裏付けと運用者の理解を確実に取り付け、飛行安全確保に妥協しないという意識を一層強調する必要がある。]

 「解決策」が導かれることを願うが、「しのぎ」の間は、「部隊における共食い定期交換間隔の延長など可動機を捻出するために執らざるを得ない措置が航空機の品質に影響することは否定できない」との指摘は大変気になる。

 以下、明日に続く。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
態勢立ち直る予定はまったく無いと見た方が良いでしょう。

軍事は厳しいですよ。
ハイテク地獄
2017/11/12 10:28
A、現状、ほぼ初動激突戦力、平時型の防空軍と割り切る。

B、初動で敵の攻撃被害を負担

C、できる範囲で消耗戦を展開

D、次のターム、1週間後以降、温存した
増援増強された米空軍
の支援の下、
陸自、海自、特に温存されたP1などを駆使し
立体的防御&反撃戦闘を帝国統合軍連携で展開

その作戦に空自の戦力を見込まない。

RF、その後、長期戦もしくは断続長期戦含む冷戦において、米軍余剰分のF15ストライクイーグルなどを
中古供与、自衛隊式データリンクなどで改修、
バックボーンある継戦戦力としての建て直しを1から図る

奇想天外と言うより、実は、裏面でコンセンサス取れてるイメージだったりする気もします。

パイロットだけは生き残らせる必要はあります。
大胆な切り捨て
2017/11/12 10:34
トランプの横田基地での演説は伊達では無いと見ます。

A、就任後の補正予算が非常に大きい額
B、今年度の軍事予算は非常に増額

C、まずは、世界中のF18の稼働率を上げている。
優先して。
それが整うのに半年〜1年かかってると見る。
整備部隊、兵站バックボーンから上げてるのだろう。

まあ、そういうことです。

どんな旧式F15だろうが、使える戦爆状態に改修するか
中古F15ストライクイーグルを購入改修するか、
と同時に部品ストック、兵站、整備部隊を増強増予算
全力でやって1年、米軍でさえ、

まあ、ショックを受けて壊滅してから建て直しでしょう。
幸いにして、後詰めは充分にあります。
予算増額
2017/11/12 10:40
戦術的には、次の部隊は敵の初撃被害負担から外し
温存し、1週間後以降の作戦に備えるべきです。

F2戦爆部隊 x3飛行隊、青森、福岡
F4改戦爆部隊 x2飛行隊、茨城百里

実用戦爆であること、
陸自、海自に直協できることがもちろん
理由の最大です。

まあ、自然に、ある程度後方の位置になってますが。
福岡の飛行隊はけっこう危険な前衛消耗戦の位置です。
まあ、北朝鮮戦などで即時出動もありえますでしょうし。

茨城百里は昔は首都防空のやや後方要、F15が展開してたと思います。
案外に俺が言ってるようなイメージが現にあるのかもしれません。
そして、けっこう実働するF4改も案外今や重要なのかも?
温存すべき実戦部隊
2017/11/12 17:00

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