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zoom RSS 軽空母(「いずも」級+F‐35B)導入のメリット B

<<   作成日時 : 2017/11/24 21:18   >>

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「軽空母(「いずも」級+F‐35B)導入のメリット B」

 昨日の続き。

 [■新任務への対応
 第三の利益は新しい任務への対応である。上陸戦や島嶼防衛での不足機能の補完だ。
 これも軽空母導入でとりあえず実現できる。少数機であっても上陸船団や輸送船団に継続的なエアカバーを与え、規模はともかく上陸戦での制空権確保や準備爆撃、近接支援提供といった役割は果たせるからだ。

 ・船団直掩
 船団直掩には問題がある。これは上陸戦/島嶼防衛において意図して等閑視されているものだ。
 防空は陸上戦闘機とイージス艦を前提としている。
 だが、両者のカバーは能力的に十分ではない。持続したCAP、船団上空での空中戦闘哨戒は確実ではない。航空基地からの距離や空中給油機次第では不十分となるからだ。またSM‐2であってもMEZ・対空ミサイル交戦圏は水平線内側に限定される。それを見極められてしまうと、敵哨戒機にミサイル攻撃圏外周で継続的な接触を続けられてしまうだろう。
 その点で軽空母導入のメリットは大きい。少数機搭載の軽空母でも常時滞空によるFEZ・戦闘機交戦圏を持続できる。それにより哨戒機を船団に近づけることなく、追い払うことができるのだ。
 瑣末な部分だが、光学探知を含むF‐35のルックダウン能力も効果を発揮するだろう。水上艦よりも極低空目標探知と攻撃で有利となる。その実用性は技術・スペック的に喧伝されるNIFC‐CAよりもおそらく高い。

 ・対地攻撃
 上陸戦での準備爆撃やCAS提供も同じだ。現状では艦砲や攻撃ヘリ頼りだが、5インチ砲もAH‐64アパッチも致命的に不足している。
 もちろん陸海自衛隊は増強を図る方向にある。陸自は上陸戦に生き残りをかけるしかない。その観点からすれば戦車や中砲を整理してでもアパッチを倍増、あるいは3倍する。それがなければ上陸戦はできない。海自もおそらく新型護衛艦で5インチ艦を増勢する。
 ただ、それでは足りない。艦砲とヘリでは堅固な築城を吹き飛ばせるような大威力の誘導爆弾の運用はできない。また中高度常時滞空による広範囲へのCAS即時提供もできない。
 この問題も軽空母で解決する。F‐35Bは内装でJDAMもペイブウェイも運用できる。当然だが外装では荷重が許せば何発も積める。また、制空権確保を兼ねてF‐35Bを常時飛ばしておけば、CAS問題も解決する。いつでも、上陸海岸のどこにでも爆弾が落とせる。小径誘導爆弾SDBを上限まで積むなら、B型でも内装8発、外装18発と計26発は懸下できる。しかもAMRAAMとサイドワインダーを各2発搭載した条件である。もちろん誘導爆弾は陸上基地から飛来するF‐2やP‐1でも投下可能だ。ただCASの常時継続はアパッチを含む艦載機でなければ難しい。
 何よりも回転数を稼げる。至近距離からの運用なので往復時間を要しない。ぎりぎり20マイル程度まで近づけば片道3分だ。SDBや外装したマーベリックを撃ち尽くしても、すぐに戻って再搭載し再展開できる。長距離陸上機に対するこれは利点である。

 ・外海作戦
 これらの利点は作戦範囲の外洋化でさらに輝く。
 実際の両用戦はどこで起きるか?
 おそらくは日本周辺ではない。想像される日中間の戦いはまず起きない。相手として悪すぎる。そのため両者とも回避を試みるためだ。偶発事件とそれによる国民感情コントロールに失敗しない限り、そうなる。
 可能性が高いのは地球規模での低強度紛争や人道問題への介入だ。米国と豪州、あるいは欧州各国との共同行動である。その中身も上陸作戦よりも各種・各段階の両用戦となる。例えば内戦下における海岸からの侵攻や難民救出、あるいは海岸からの人道物資援助だ。
 中国との共同行動もあり得る。実際に「駆けつけ警護」以降の南スーダンPKOはそれに似た状況だった。友軍救助を口実として介入できたからだ。紛争強度が高まらず派遣期間が長引けば、政治の指示あるいは強要でそのような実績も積まれただろう。その点で中国を含んだ諸外国との共同介入でもあった。
 強いて戦争的局面を提示するなら、おそらくは日米同盟下での南シナ海以遠への介入である。それも日米ともに避けたい中国と直接衝突ではない。第三国を対象とした作戦だ。南シナ海ならフィリピンや台湾が支配する岩礁の保障占領、インド洋なら親中国政権の転覆や、あるいは内戦発生に乗じた敵対勢力援助といったものだ。
 いずれにせよ、これらの行動は自前の母艦航空部隊がなければ不便だ。陸上航空戦力での対応には基地提供の手間がかかる。この点でもF‐35Bを搭載した軽空母導入は利益となるのである。]
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 上陸戦や島嶼防衛にF‐35Bを搭載した「いずも」級軽空母が役立つのは言うまでもないが、むしろ抑止力としての効果が大きい。日米安全保障条約が機能している限り、中共が尖閣諸島や先島諸島を奪いに来る可能性はまずないが、我がほうに軽空母が加わることで抑止力が高まるのは間違いない。
 また、尖閣諸島の実効支配にも役立つ。現在、中共は、海警局の巡視船等を尖閣周辺に派遣し、定期的に領海侵入を繰り返すことによって、同諸島の実効支配を目論んでいる。
 そして、次の段階として、ヘリコプター搭載巡視船を送り込み、ヘリで海警局隊員を、一時的に尖閣に上陸させることを考えているのではないかと推測するが、その場合、尖閣周辺で警備に当たっている海上保安庁では対処が難しい。押っ取り刀で逮捕に向かったとしても、ヘリコプターで簡単に飛び去られる。
 かと言って、航空自衛隊那覇基地からF‐15戦闘機をスクランブル発進させても、時間がかかるからヘリコプターの領空侵犯を阻止することはできない。だが、尖閣諸島周辺海域に「いずも」級軽空母が遊弋していたら、ヘリを使った上陸を躊躇するに違いない。
 加えて、軽空母は中共との外交交渉の後ろ盾にもなるだろう。日中間で尖閣諸島や中共が盗掘しているとされる東シナ海ガス田問題などを話し合う際に、軽空母の存在は無言の圧力となるだろう。そもそも、軍事力の後ろ盾のない外交は無力である。
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 一方、外洋作戦として文谷氏が挙げている事例はほとんど可能性はないと思われる。政府が存立危機事態と認定し、集団的自衛権を行使して自衛隊を派遣する事態は、朝鮮半島有事及び台湾有事、そしてペルシャ湾岸有事だろう。このうち、可能性が高いのはペルシャ湾岸有事だ。
 万が一、ペルシャ湾岸地域で紛争が勃発し、我が国への原油供給が止まるようなことになれば、政府が存立危機事態と認定しても不思議はない。
 例えば、サウジアラビア政府に対する外部勢力又は外部勢力が支援する内部勢力あるいはその両者からの攻撃があり、米国がサウジ支援の有志連合を組織して軍事介入する、となったら、米国は当然、日本にも参加を呼びかけるだろう。否、参加を強要するだろう。その際、「いずも」級軽空母を中心とした艦隊を派遣すれば、米国も納得するだろうし、海上・航空作戦なら派遣部隊のリスクも少ない。

 また、「いずも」級軽空母は、日本最南端の島である沖ノ鳥島防衛にも役立つ。中共は、沖ノ鳥島を「島」とは認めず、同島を基点とする領空・領海・EEZ(排他的経済水域)を認めていない。中共軍機に同島領空を侵されても、現在は事実上対処できない。
 そもそも、沖ノ鳥島周辺の空を警戒監視する防空レーダーはない。中共機による侵犯が続くようであれば、AWACSや護衛艦を派遣して警戒監視することは可能だが、那覇基地から沖ノ鳥島までは1073kmもあり、対領空侵犯措置任務を実施するのは難しい。一番近い硫黄島航空基地からでも725km離れている。このような際に「いずも」級軽空母を派遣すれば、F‐35Bによる対領空侵犯措置任務が効果的に実施できる。

 以下、明日に続く。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
差し当たって特に価値は

A、特にベトナム戦、ベトナム補給戦、としても良い

B、フィリピンでの消耗戦

C、台湾救援時の船団カバー

などです。
中東ホルムズ海峡については、
同盟国へ航空部隊ごと派兵でしょう。
ふつうは米軍が航空部隊担当ですが、
未来はわかりません。
1870年の時点で、まさか、
日本空母がコロンボ空襲してぽんぽん英艦船沈めるとは
逆立ちしても誰も想像できなかったでしょうから。

なるべく巾を持って考える、
もともと空母とはそういう種目の兵器です。
たとえ分散型でも。
むしろ歴史的にも分散型こそが次世代と直感はされて来ました。
軽空母の価値
2017/11/25 16:47
9条の呪縛はウヨクにも保守にも新保守にもあります。
本来の健全な戦略思想を歪めて思考させる効果があります。
それはむしろ、未来の戦争の危険を拡大させかねません。

そういう面を実地において打ち破るような
心理的効果もあります。

分散型軽空母はスマートな発想です。
成功すれば果実はでかいです。
特に軍事革命の時代になるので。
最終的には虚で無く実として、避けては通れないでしょう。
9条の呪縛
2017/11/25 16:51

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