P-1の装備品と能力

「P-1の装備品と能力」

 去る3月26日、海上自衛隊厚木基地に待望の最新鋭国産哨戒機P-1が2機配備された。今後、乗員の訓練と運用試験を経て、順調にいけば2年後から実戦配備に就くと云う。
 増強著しい中共潜水艦に対抗する切り札としてP-1にかかる期待は大きい。そこで、P-1の能力等について「軍事研究」6月号に竹内修が詳しい解説記事を寄せているので抜粋して紹介する。
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 「中国潜水艦の天敵“P-1”」と題した記事で竹内氏は、米海軍の新型哨戒機P-8Aと比較しつつP-1について解説している。
 P-1は、実用機として世界で初めて飛行制御システムにフライ・バイ・ライト(FBL)を採用している。電線の代わりに光ファイバーケーブルを用いているので、電磁波の影響を受けにくく、使用する電力も少なくて済むと云う。
 P-1の機体サイズは、全幅35.4m、全長38.0m、全高12.1m、基本離陸重量79.7トンとなっている。最大離陸重量は公表されていないが、P-8Aの83.7トンを上回る可能性が高いと述べている。因みに、Pー3Cの基本離陸重量は56トンで、大幅に増加しているが、P-1の機体重量にはなお余裕があるとみている専門家もいるとのことだ。
 エンジンは、IHIが開発したF7-10ターボファン・エンジン(推力6.1トン)×4発で、騒音低減と燃費向上を図っている。巡航速度は833km/h、実用上昇限度は13520mで、いずれもPー8Aを上回っている。

 P-8Aは、ボーイング737-800NGをベースにしているのでエンジンは2発だ。竹内氏は、P-1を4発機としたことについて、当時防衛庁長官だった石破茂氏が強硬に反対意見を述べたと書いているが、その理由については説明していない。推測だが、エンジンを4発にすれば2発に比べて単純計算で整備コストが2倍になるし、開発費込みのエンジン価格もC-2輸送機に採用されたGE製CF6-80C2より高いから、反対理由はその辺りにあったのではないだろうか。
 竹内氏は、P-1が4発機になった経緯やデメリットについて何も触れていないが、防衛省とメーカー側がどうしてもF7-10をP-1に採用したかったからだと推察する。仮にIHIがCF6-80C2のような高出力エンジンを開発できていたら2発機にしただろう。

 索敵用レーダーは、防衛省技術研究本部と東芝が共同開発したHPS-106型アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーが採用されている。HPS-106は、気象・航法・洋上索敵モードのほか対空警戒モード、逆合成開口/合成開口モードを持つマルチモード・レーダーで、洋上索敵モードでは高高度からの潜望鏡探知が可能とされており、また逆合成開口/合成開口モードを用いれば洋上だけでなく地上の画像データの収集を行うことも可能だと云う。
 ソノブイは、パッシブ式HQS-13F、アクティブ式HQS-33C、海中雑音測定用HQS-21B、BT計測用HQS-51など、P-3Cで運用されているソノブイ総ての運用能力が付与されおり、さらに将来型ソノブイへの対応も可能とされているとのことだ。
 音響情報の解析システムには、国産のHQA-7音響処理装置、戦術判断システムも国産のHYQ-3が採用されている。
 探知能力を左右する信号の処理能力に関しては、潜水艦の推進機関が発する狭帯域信号の処理能力が大幅に向上しており、フロー/キャビテーションノイズ等の広域帯の雑音を処理して目標を探知する能力や、信号の発信時間が短いため探知が困難とされてきた魚雷発射管の開閉音や操舵音の探知能力など、P-3Cの音響処理システムにはなかった機能も付与されており、目標の自動探知・追尾能力も向上し、浅海域での探知能力も大幅に強化されていると云う。
 HYQ-3では、自機の各種センサーが得た情報と僚機から得た情報を統合処理して情報を分かりやすく表示し、乗員の状況判断や意思決定の支援を行うだけでなく、人工知能によって目標の進路・速力・深度設定などの情報を基に目標の行動を推測する能力や、ソノブイ投下パターンの決定や攻撃方法、どの機体が攻撃を行うべきかを推奨する能力も付与されているとのことだ。
 MADは、三菱電機が開発したHYQ-102、光学索敵センサーは、HAQ-2が採用されている。また、通信機材はHRC-124UHF/VHF無線機のほか衛星通信装置が、戦術データリンクは、LINK16にも対応するHCQ-3データリンク装置が搭載されている。
 防御用電子兵装は、HLR-109B逆探知装置とHLQ-4自動防御装置を装備している。HLQ-4詳細は明らかにされていないが、各種センサーが探知した経空脅威情報を基に脅威の判定を自動的に行い、最適な防御手段と回避手段を提示するとともに、必要に応じてチャフやフレアなどを発射する、第4・5世代戦闘機のスタンダードとなっている自己防御システムと同類のものではないかと思われるとのことだ。

 兵装は、P-3Cが運用している短魚雷や対潜爆弾のほか、ASM-1CやAGM-84Cハープーンなどの対艦ミサイル、さらにAGM-65マーべリック対舟艇ミサイルの運用も可能とされている。
 AGM-65は、北朝鮮の工作船への対処を念頭に置いて採用されたと推察されるが、P-1(P-3Cも含めて)が敵艦艇に向けて対艦ミサイルを発射するようなシチュエーションはほとんど想像できない。
 島嶼部を含む日本への侵攻を企図する敵が、侵攻地域の航空優勢も確保せず、艦艇だけがノコノコとやって来るとは考えられない。まずは戦闘機を繰り出して来るはずで、航空自衛隊戦闘機がこれを排除できなければP-1の出番はない。幸いにして敵戦闘機を撃滅できれば、その時点で敵は侵攻を諦めるだろう。従って、P-1が対艦ミサイルを発射する事態もない。万が一、特攻的に敵艦が攻めてくれば、空自戦闘機が対艦ミサイルで対処すれば良い。P-1の本分はあくまで中共の潜水艦狩りだ。

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